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【翻訳】Arenaの経済はめちゃくちゃだ 特にカラディシュリマスターのような補足セットでは

こうなることは、Arena でパイオニアを実装するという発表があったときから分かっていたことでは?


原文

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先週、長く待ち望んでいたカラディシュと霊気紛争が、 Arena にカラディシュ・リマスターというかたちで戻ってきた。《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》、《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel》、《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》、ファストランドのようなカードと、さらに多くのカードがすぐにかなりの量プレイされていて、このセットはすでにヒストリックに巨大なインパクトを与えている。

普通、新しいセットのリリースは祝福の時であるし、ある意味カラディシュ・リマスターでもそうである。プレイヤーは、ノスタルジアのために古いスタンダードのデッキへの再訪と、独特なヒストリックのカードプールで新しいアーキタイプの構築で、新規っぽいカードをプレイするのがわくわくしているようだ。逆に、過去に Arena 上でリリースされた補足セットのように、大きく暗い雲がカラディシュ・リマスターのリリースを覆っている。このセットは馬鹿馬鹿しいほど高額で、無料プレイ(か、ほとんど無料プレイ)するプレイヤーが、このセットを楽しむのは完全に難しいし、比較的実用性が限られたカードを得るのに廃課金させられる。なぜなら、こういったカードはヒストリックと時にはヒストリック・ブロールでしか合法ではないからだ。

カラディシュ・リマスターは、カラディシュと霊気紛争を含んだ、最大のヒットしたセットであるため、典型的なセットより神話レアがかなり多い。ボックス特典である《彫り込み鋼/Sculpting Steel》を差し引いてさえ(技術的にこのセットでは妥当ではないが)、神話レアが 22枚ある。今のところ、俺は大体 150 パックを開け(90 パックのバンドルと 45 パックのバンドルと、残りは適当なゴールドとジェム)、パックから出てきた神話レアのワイルドカードをすべてこのセットのカードにつぎ込んだ。これが俺の現在のコレクションだ:

 

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$150 使って、神話レアのコンプリート率はわずか 1/3強だ(33/88 で 37.5%)。つまり、実際カラディシュ・リマスターをコンプリートするには、$400 くらい使う必要がありそうだということを示している。とてもおかしいことに、TCG中間価格では $236 だったので、紙でカラディシュ・リマスターの神話レア 22 種全部そろえるコストよりも高いのだ。そしてショッキングなことに、Magic Online で 88枚の神話レアは全部で $17 であり、4枚集めるコストは Arena では爆発的に高い。

これは、ゲームプレイという点で、Arena より Magic Online や紙のほうがほぼ間違いなく大きな価値があるという事実があるにも関わらずだ。なぜならこのカードすべては、統率者(Arena では無いし、来ることもなさそう)、モダン、レガシー、パイオニアに加え、カジュアルでもプレイできるからだ。あぁ、そうそう、俺は紙や Magic Online のカードは、別の点でも価値があることを忘れてた。実際にそのカードを所有できるし、現金か他のカードと取引することで、売り払うこともできる。

そしてこれは、まだ Arena の重複カード問題を考慮していない。(ありがたいことに)カラディシュ・リマスターには、神話レアには1枚も無いが、低レアリティには存在する。例えば《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade》を取り上げてみよう。このレアは何か月か前にジャンプスタートで追加された。だから俺はすでに4枚持っていて、補足セットからこのカードを入手するのは、無駄な努力ということだ。さて、《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade》が数か月後、カラディシュ・リマスターで戻ってきた。Arena 上のカードはトレードも処分もできないので、一度手にいれると永遠にアカウントにロックされる。つまり、俺がこのセットから必要なカードを手に入れるためにカラディシュ・リマスターのパックを開けると、文字通り価値のない《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade》がレア枠から出てくる、空のパックが4つ出てくるのを俺は楽しみに待っているということだ。正しいにしろ間違っているにしろ、すでに4枚持っているレアか神話レアがあるパックを開けることは、とても盗まれたように感じるということだ。君はウィザーズに金を渡して、ある程度の価値があるカード(構築したり以前できなかったデッキをプレイできたりするので)を開けるチャンスを得るが、ウィザーズは何のリターンも与えない。なぜなら、《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade》の5、6、7、8枚目は、コレクション画面の枠を埋める以外、何もしないからだ。

今、これについて反対意見があるのは分かっている。Arena は無料プレイする選択がり、Magic Online と紙には無いということだ。厳しい予算で(あるいは新規プレイヤーが)デッキを組み立てるために、実際のお金ではなく時間を使ってできるという、誰かの利点を奪いたいとは思わない。カラディシュ・リマスターは報酬から得られないので、特に補足セットでは多くのことが当てはまらないが、大きな問題だ。つまり、補足セット満載のヒストリックのデッキを、自分の方法で無料プレイしようとするなら、報酬として稼いだ他のセットのパックにほぼ完全に頼らなければならなくなり、ワイルドカードのゲージがゆっくり増えながら、ワイルドカードが出ることを望んでパックを開け、その後そのワイルドカードをヒストリックのデッキに費やすことになる。俺は、カラディシュ・リマスターのカード一式を、自分の方法で無料プレイすることは技術的には可能だとは確信しているが、そうなるには十分なワイルドカードを稼ぐのに何年も掛かりそうだ(その間、さらに多くの補足セットの束がリリースされるし、さらに多くのワイルドカードと繰り返しのプレイが要求される)。基本的に、無料プレイのモードがあることは、スタンダードのプレイでは Arena の経済において巨大な長所だが(少なくても、あるグループのプレイヤーにとっては)、この長所は補足セットやヒストリックのプレイには実際当てはまらない。そしてこれが、今日の主要なトピックだ。

そして、すべて結び付けよう。Arena で補足セットからカードを入手するのは、たとえ Arena のほうが実用性が低く(Arena では補足セットが合法であるフォーマットが少ない)価値は無くても(紙と Magic Online のカードはトレードも売却もできるが、Arena ではできない)、紙よりもずっと高額であり、Magic Online よりも爆発的に高額だということだ。これ自体でも悪いが、Arena はどういうわけか、すでにコレクションにある価値のない余分なカードを開けさせることで、すでに不快なほど高額でプレイヤーに不親切なシステムをさらに悪化させようとしている。

 

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俺は現在、16枚の《強迫/Duress》を持っていて、そのうち12枚はエキスパンション・シンボル以外完全に同じイラストだ。最大20《強迫/Duress》まで可能だ。4枚しか必要ないが。

俺にとって、これは擁護できないように見える。ウィザーズは、目的が Arena 上に最低でもパイオニアが来ることが明らかにしている。つまり今後数年で、さらに多くのカラディシュ・リマスター風のセットの束が必要になるということだ。パイオニアはラヴニカの回帰から始まっているので、ラヴニカの回帰リマスター、テーロス・リマスター、タルキール・リマスター、戦乱のゼンディカー・リマスター、イニストラードを覆う影リマスターが必要になりそうである。そして、基本セットも数セットあるので、まだ本当に完全なパイオニアになっていないし、リマスターのセットには各ブロックでパイオニア・プレイアブルなカードのすべてが含まれてはいない。つまり、少なくても数セット、あるいは多くなる可能性があるが、パイオニア・マスターズも必要になりそうということだ。そしてこれは、単にパイオニアが Arena に来るだけである。比較的新しく小さいフォーマットだ。もしウィザーズがいつかモダンやレガシーも押すことにしたら、Magic の「無料プレイ」とか言われているデジタル・クライアントでコレクションを維持しようとするより、アルファ版《Black Lotus》を買ったほうがいいだろう。

俺にとって、ヒストリックをプレイするコストを正当化するのは、だんだん難しくなっている。俺は信じられないくらい幸運で、経費として落とすことができる。こういったアドバンテージが無い平均的なプレイヤーは? カラディシュ・リマスターのようなセットに $300 とか $400とかを使うのが妥当な金の動かし方であるとは、俺には想像し難い。たとえ 100年に一度のパンデミックが経済を押しつぶした今であってもだ。たとえ予算内であっても、そのお金は、ローン・プログラムを組んだ Magic Online 上では、基本的にやりたいどんなデッキでどんなフォーマットでもプレイすることに使えるし、紙で新しいモダンや統率者をくみ上げたりすることにも使える。

そして思い出してほしい。これは一つのセットについてでしかない。今年に限っても、テーロス還魂記、イコリア:巨獣の住処、基本セット2021、ゼンディカーの夜明け、これに加えヒストリック・アンソロジーのリリースが2回、ジャンプスタート、アモンケット・リマスタリー、カラディシュ・リマスターがあった。スタンダードのセットは無料プレイでじっくりやることはずっと簡単だが、必要なカードを何か月も待ちたくないなら、一般的に毎セット約 $200 でただちにすべてが得られる。つまり、スタンダード合法のリリース4つで、最大 $800 ということだ。各ヒストリック・アンソロジーは、ストアから買うなら $20 分のジェムで、あと $40 掛かる。3つの供給セットを、1セット当たり控えめに $300 だとしてこれを加えると、1年間のリリースで $1,740 見ることになる。そしてこのリリースで入手したカードでゲームをプレイする楽しみ以外では、トレードもできずコレクションに永遠にロックされるため、埋没費用になる。

$1,740 を年ベースで再販価値ゼロのゲームに投入するのは、ばかげた金額だ。同じ金額で、Magic Online の $250 制限ローン・プログラムに投入することで、すべてのスタンダードのデッキ、多くのパイオニアのデッキ、いくつかのモダンのデッキを4年以上プレイできるし、$500 制限ローン・プログラムで、本質的にすべてのスタンダード、パイオニア、モダンのデッキ、大半のレガシーとヴィンテージのデッキが2年以上プレイできる。あるいは、紙で毎月 $150 の新しい低予算統率者のデッキを買うことができる。

Arena に補足セットが増えれば増えるほど、Arena の経済はプレイヤーにとって苦痛になる。スタンダードは現在良いが、過去複数年に渡る実績は素晴らしくなかった。つまりヒストリック(Arena でいつでも可能なブロール以外のフォーマットとして)が、クライアント全体の健全と成功にとって、完全に重要だということだ。残念なことに、ウィザーズは無料プレイヤーをフォーマット外と価格付けをするだけでなく、Arena でたくさんのお金を使うことを厭わない廃課金者の価格付けに最善を尽くしている。

Arena が長期的に成功するために、ヒストリックと、できれば他のエターナル・フォーマットも必要だ。ただ存在するのではなく、繁栄する必要がある。スタンダード以外のフォーマットが繁栄するために、一般的にArena は経済を修正する必要がある。特に補足セットに関してはだ。プレイヤー・エージェント(訳注:Magic Online でカードの取引を自動で行うBOTがありますが、そのような類のものを指していると思います)にカードの処分やトレードするシステムでコレクションをコントロールできることが理想的な解決だし、数年前 Arena が作られたときに戻ると、これが明らかで理想的な解決だったが、ウィザーズは別の、全然プレイヤー向きでは無いほうを選んだので、おそらくウィザーズが今のコースを変えることはなさそうである。もし処分かトレードが選択肢上にないなら、最低限でもウィザーズは再録を補填するために重複の保護を拡張し、スタンダードではないセットを安くするか、無料の報酬の量を大量に増やすかする必要がある(プロモコード TryKaladesh でいつものように3パックではなく、1パックしかもらえなかったカラディシュ・リマスターで見たように、減らすのではなく)。

Arena の経済は、何かが変わる必要がある。デジタルの TCG や CCG はどんどんリリースされる。競合製品のレベルと質は上がり続ける。Magic は 25年という歴史と熱心なプレイヤーがいるというアドバンテージがあるが、これはプレイヤーに長い間市場で最も高額なカードゲームのような何かをプレイさせ続けている(そして正気でない額のお金を使わせ続けている)だけになる。特に Arena が Magic 以外のゲームだけでなく、大幅に安く十分な量の実用性と価値がある Magic をプレイする他の方法に対しても競争していることを考慮するとだ。